18 秀っさんと正世さん

わかばを加えた6人で晩ご飯を食べた。もちろん、父、祐介は祖母と母の手料理は食べられないけれど、久しぶりにそれを目で味わうことを喜んでいる。手元にある夕食はルームサービスのインドネシア料理。例えば、豚骨ならぬ牛骨で出汁をとって、ココナッツミルクでベースを整えて、牛肉、トマトなどの具材が見える”ソトベタウィ”を食する時に、こちらで食べている豚汁ならぬ猪汁の映像を見せると、昔の食感を思い出すのだろう、「コレコレ!」って訳の分からない、けれど嬉しそうな反応が返ってくる。面白くてこちらは盛り上がる、盛り上がる。

猪汁のほかに、ふたを取るとしいたけの香りが鼻腔を喜ばせる茶碗蒸し、じゃこののったオクラの煮浸し、焼きとうもろこしといったメニューだった。添え物として紫蘇色鮮やかな梅干しを白いご飯の上に載せて祐介に見せると、まさにパブロフの犬。口の中のつばの音が聞こえてくる。

「今食べたい」

「ほい、手、出してみい、取れるかもよ。ハハハッ、家に送っとくけん、はよ帰ってきまい」

と、正世おばあちゃん。

賑やかな夕食がすんで、後片付けが終わるとおじいちゃんおばあちゃんはここから車で30分ほどの家に帰った。

明日朝に、おじいちゃんがかかりつけ医の定期健診を受けるらしい。ニコニコとして元気そうにしか見えないが、若い時に大怪我をして一時意識不明にもなったらしい。その影響か、心臓や消化器系に弱いところがいくつかある。

「こんなんぞ、こなんなっとんぞ」

と説明してくれるけれど、ニコニコして話すので重大さが伝わらない。さらに正世おばあちゃんもそれに輪をかけてニコニコして突っ込みを入れる。

こっちまで顔がほころんでくるが、聞いた症状を後から整理すると、いろいろな手術や療養をしてきている。それを意にも介さない素振りはなかなか真似できるものじゃない。

父祐介には、

「シンガポールから戻ったら、一度さぬきにきまい、お母さんと一緒に」

と、メッセージアプリに入れといた。やっぱり会って目の前で話したり様子を見るのがいい。